幸せの選択
「ありがとうございました。要さん、忙しいから無理かもしれませんが、しっかり休んでちゃんとご飯食べてくださいね」



シートベルトを外しながら伝える。



まっすぐ前を見つめたままこちらを見ない要さん。





「それじゃあ」


ドアに手をかけた時、グイッと肩を掴まれた。
そして、バランスを崩した体が納まったのは――



要さんの胸の中だった。





「要さん?」




「ちょっと充電」



掠れたような声でそう呟く要さん。
初めて聞くその声に、胸の奥がキュンとする。



そっと手を彼の背中に回すと驚いたようにビクンと動いた。
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