幸せの選択
要さんの車が右折して見えなくなったところで、回れ右をして社屋へと向かおうとすると



「おかえり」



今、もっとも見られたくなかった相手に声を掛けられた。







「晃樹、どうしたの?」



いつからそこにいたんだろう。

さっき車の中から見た時には人影は無かった。
やましいことをしているわけじゃないのに、何故か冷や汗が出る。




「ちょっと一服しに出てきたトコ。千秋は?」


「うん。J-styleとの打ち合わせの帰り」



私が何をしていたのを聞くってことは、要さんの姿を見ていないってこと。
その事実にほっと胸を撫でおろす。



「へぇ、裏口から帰ってくるなんて珍しいね」

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