幸せの選択
女子社員に限らず、噂というものの怖さを身をもって体験している私は、晃樹とのことも誤解を受けないようにしなくてはと、気を引き締めた。



晃樹にも伝えなくてはいけない。
以前の職場での私のことを知る彼ならきっと理解してくれるはずだから。





ペチンと自分の頬を叩いて、気持ちを変えてからオフィスに戻る。





「ただいま戻りましたぁ」


「おかえり。どうだった?」




「はい。まとめたら報告しますね」


「おう」




机に書類とノートを置く
その時、フワリとシトラスの香りがした。




その香りに頭の中に要さんの顔が浮かぶ

疲れた顔をした要さん
ちょっと照れたようにほほ笑む要さん
いつも私を子供のように見守る要さん




どの顔も思い浮かべるとキューっと胸が苦しくなる
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