幸せの選択
「なぁんだ聞こえてんじゃん。ダンマリなんてどうしたの?」


「…………」


「ちょっと、また独り言になっちゃったじゃん。ちーあーきー?聞こえてる?

「聞こえてる」



今、誰とも話す気にはなれない。
晃樹を気遣う余裕なんてもってない。


「あのさ、今日は接待ゴルフだったの。お土産買ったから渡したいんだけど?」


「ごめん。今日はちょっと………」



「えーっ!そうなのぉ。千秋に会いに下にいるのに?」


「晃樹、ごめん」



そして、電話を切ろうとするとーー


「ね、待って。じゃあ、今日は帰る。だからちょっとだけドアから顔見せてよ。そしたら帰るから」
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