幸せの選択
発進した車の窓から外をぼんやりと眺めながら、5年前に記憶を戻す



要さんとの未来を選んだのは、私が私らしくあるためだった。

決断はすぐに晃樹に伝えた。





私の話をゆっくり聞いた晃樹は、予想に反して微笑んで



「やっぱり叶わないと思った。だからちょっと焦ったんだ。ごめんね千秋」といった。



そして、あの日私が要さんに失恋したあの日、晃樹に連絡をして私を頼むと伝えた要さんに、いつか千秋は連れて行かれると思ったそうだ。




だから、遠くに行ってしまおうと思った





「いつだって千秋には余裕がないんだ」


と自嘲気味に笑った晃樹






涙は流さなかった。

だって、私が決めた別れだから。




いつかの玲衣さんのように、この別れは私が言い出したことだから、現実から目を逸らしちゃいけないと思った。






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