サクラサク(地味っ子②)

「最初はね。桜のこと嫌で仕方なかったの。

日本人なら誰でも知っている一条家の人間なんて

どうせ、傲慢な人だろうと思っていたし・・・・」

でも、桜は違っていた

初めて会った桜は、暗く沈んでいた

どこか、儚く消えてしまいそうだった

挨拶をしても、あかりと桜はしゃべるわけでもなく

ただ、ソファーに座っていた

そんな時、

「・・・ワーーーン・・・ママーーー」

隣の部屋で、海が泣いてしまった

その場を失礼して、海のところへ行った

何分たっただろう・・・・何故かこの日泣き止まない

トントン

海斗?

「はい」

「あのー抱かせてもらってもいいですか?」

入ってきたのは桜

海を見せたくなく、まして、親族でも抱くなんてなかったあかりは

「・・・・」

「私、いろんな国でいろんな子供たちを見てきました。

だから、抱っことかうまいんですよ」

その日初めて微笑んだ桜を見て、何故か海を渡した

「・・・海くんですか?私さくちゃん。はじめまして」

驚いたことに、桜は難なく海を抱き、話し始めた

実は、あかりはあまり信じていなかった

ダウン症の子供をだくのは、少し大変なのである

だから、どうせだけないわ・・・っという思いで渡したのだ


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