大切なもの
次の日の4月9日。学校で私が悩んでいたこと。


それは高木慎二をなんて呼べばいいか。


なんでここまで悩んでるかって…!?


その理由は、高木は、例えば、同じ墨田小学校出身の、山崎さん、星野さん、植田さんとか女子は全て「さん付け」。


で、山崎さん、星野さん、植田さんは「慎二君」と呼んでいる。


私は、性格がサバサバしていたので小学校の頃、男子からは呼び捨てで「小川」とみんなから呼ばれていたし、もし、昨日までお前呼ばわりされていた高木慎二から「小川さん」なんていわれたら気持ち悪いし、


なんたってわたしが「慎二君」って呼ばないといけなくなる。


私は男子を君付けするのが面倒くさくてあんまり好きじゃないから…


でも自分は「小川さん」と呼ばれるとしたら、私が軽々しく「慎二」と呼べるわけなんかないし…




…そうずっと悩んでいた。


でも悩んでいたのも束の間。









後ろから



「小川~~~!!」


という声が。


振り向くと高木慎二が。








その時を境に


私は高木慎二を慎二って勝手に呼ぶことにした。


「慎二。なに??」


「なあ、昨日の続きやけど、お前っちやっぱりエロいやろ♪」


「…うるさいなあ!放っといてよ~」


「なあ、彼氏とかおるん??」




彼氏…


康平以来好きな人すら居ないからなあ…


でも一応カッコはつけときたいし…



「う~ん、内緒!」


「え~そうなん!!まあいっか!またいつか教えてな!」


そう言って、慎二は慎二の友達の元へ行った。






私はその後渚の席へと直行した。


「渚あ~…慎二ってやつ変だよ~」


「あはは!そうなんやあ(笑)」


とその時。


「あ…えっと…ゆきちゃんだよね?」


「そうだよ!美奈(みな)ちゃん!ゆきだよ♪」


…どうやら、美奈ちゃんという子が会話に入ってきた。


渚の隣の席の子で、昨日の紹介文を書くので仲良くなったらしい。


「あ…ゆきちゃんよろしくね。」


「う、うん!美奈ちゃん…でいいんだよね?」


「うん!」


「こちらこそよろしくね。」



私から見た美奈ちゃんの第一印象は、可愛い。


肌が白くて髪が私より少し長くて、キレイで、一際小柄で…










美奈。今では私の大心友だよね?


私たちはこのときから始まったんだよね…










その日は新たに、美奈ちゃんという友達が増えて、気分がすごく良かった。

確かにとても楽しそうにしていた、山崎さん、星野さん、植田さんのグループもうらやましかったけど、

話しかける勇気もなく、その日は終わった。



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