大切なもの
その日は体育があった。




外で走り幅跳び。









…でも私は微熱のため見学。









私は梅雨時期に時々現れる炎天下の下で





みんなの走る姿を見ていたけど




太陽の日差しが暑くてもう外にいるのは限界…









そう思って、始まって10分だけど、体育の先生に断って保健室へ行った。









…私はこの日のこの時間に保健室に行けた事を運命だと思ってる。









いっちゃん、えっちゃん、美奈が居なかったら私は熱を出さずにこの日保健室にいけてなかったんだよね…?




だからちょびっとだけ3人に感謝。





















…保健室のドアをガラガラっと開けると、



そこには保健室の先生と、椅子に座っている坊主頭の男子の姿が。





先生が、


「どうしたの?」


と私に聞いてきたから、



「あっ…ちょっと熱っぽいのできました」


「先生にちゃんとゆってきた?」


「はい…」


「じゃあそこに掛けていいわよ。」



…先生に言われたとおりに椅子に掛けたら、真正面にいる坊主頭の男子の顔がはっきり見えた。




そう。同じクラスの面白い男子、時坂光輝(ときさかこうき)だ。





「…時坂だよね?」


「あ、小川…」


私は何て話しかけよう。と考えて




「時坂はどうしたん?何で保健室いるん?」


と聞く。


「秘密」


そう返ってきた。


「え~なんでよ」


「秘密ってゆったら秘密」



…そう話していたら先生は私に体温計を差し出した。








熱を測ってみる…上がっている。37度5分。




「…37度5分です」


「お前熱あるな」


「…うん。昨日まで38度あったんよ」


「は!?それなら学校くんなよ!!ぶっ倒れたらどうすんだよ」


「…色々悩み事があってね。休むわけにもいかないんですよ(笑)」


「…」



それから時坂も私の体のことは触れず、保健室の先生に私と2人で4組のことをいろいろ話す。



「私ね、入学式のとき、何このクラス!??静かすぎるやろ!??っち思ってたんよね!!」


「うんうん!オレも思ってた」


「でも今すっげー授業とかうるさいよな!!」


「そうでな~!」


「私本当そういう4組が好き!」


そんな話をしていたら、




キーンコーンカーンコーン…



「あ、チャイム鳴った!!じゃあ先生、私体育終わったと思うんで帰ります!」


「体調には気をつけてね!」


「オレも帰ります。小川…一緒に行こうぜ」


「あっ…うんいいよ」














しばらく一緒に歩いてると、


「小川、悩みとか、溜め込むなよっ!!」


私の頭をポンと叩いて、先に走って教室に戻っていった。











…私はこの頃、時坂は「楽しくて優しい男子」。そう思っていた。



今では…どうだろうね(笑)


ねえ、光輝………














私はその後、心の底からの笑顔で教室に入った。
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