大切なもの
そうその名は…







「ゆきちゃ~ん!!」



今私を呼んでいる


「あ…結衣ちゃん」



そう、松田結衣(まつだゆい)ちゃんだ。



「ねえゆきちゃんきいてー♪」



松田結衣ちゃんとは、同じ小学校出身の、3組のとにかく可愛いバレー部の女の子。


芸能人でいうと長澤ま○み似。万人受けする顔だ。


…でも性格がすごくキツい。というか悪い。仲いい人の悪口を平気で他人に言ったり、嘘ついたり、理由もないのに無視したり。



本当に「顔だけが取り得」っていっても過言ではない。





…そんな結衣ちゃんと私が仲がいい理由は、これからの会話で全てが分かる。

















「あのね♪」

話し方も男が眩む様な話し方。


…女の私にとっては全然眩まないけどね。


「何?」


「私ね♪ゆきちゃんと同じクラスの類に告られたんだあ!」



は!?

類君は彼女が居るんじゃないの!?

しかも類って…呼び捨てかよっっ!!





もちろん、結衣ちゃんは私と類君のちょっとした過去なんか知らない。


「今ね~、返事どうしようか悩んでるんだあ」


「ふう~ん」


「ゆきちゃんなら類と同じクラスだからいいアドバイスくれるかなって思ってえ」







この時の私の心境は嫉妬心なんかさらさらなかった。

当たり前だけどもう慎二に惚れこんじゃってるしね!(笑)


…私は、彼女も居るのに、結衣ちゃんみたいな顔だけの女に惹かれてる類君の心にあきれた。




だって、普段結衣ちゃんと類君が仲よさそうに話してるとこ1回も見たことないし…

絶対顔だけに惚れたな…


そう思った。


「まあいっぱい話して仲良くなってみれば?」


「うん!そうしてみるね♪またいっぱい相談するね!」





はあ…もう結衣ちゃんには関わりたくないのになあ。


また違うとこで平気で意味が分かんない悪口言われるかもしれないし…


そう思っていた。


(どうせ適当にアドバイスしとけば…いいじゃん)










…でもこれから関わらずにはいられなくなることを、この時は知らなかった。
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