大切なもの
その後教室で。



「小川っっ」


「あ~慎二い?」


「今松田と話しよったなあ」


「うん…もう性格悪いから疲れちゃうよ」


「でも顔はいいよな」


え…?慎二までもが顔だけの女に!!?


「…う、うん。顔は可愛いよね」


「何話よったん?」


「あのね…結衣ちゃんが類君に告白されたみたいで…でも」



私は慎二に、類君のことを聞こうと思った。

慎二と類君は小学校の頃からの仲良しだから。



「…ここからは私が気になっているだけだけど、類君って彼女がいるんじゃなかったの?」


「あ~、西川のことね」


西川とは5組の西川舞(にしかわまい)ちゃん。


実は、話してなかったけど、GW前に類君に手紙渡した直後に、西川舞ちゃんとすごく仲がいい、大田実由(おおたみゆ)ちゃんっていう子から





(舞からの伝言。ゆきちゃんの気持ちもわかるけど、舞も類君のこと好きだからもう類君に関わらないで)


って言われていた。




ん?”好きだから”ってことは彼女ではないってこと?舞ちゃんの片思い??と色々考えていたが、

今この慎二から言われた瞬間、あ~やっぱり西川舞ちゃんが彼女だったんだなあ~と改めて感じた。


ん?でも好きだからってことはやっぱり彼女じゃないの??




「…で、なんで類君は彼女いるのに結衣ちゃんに告白することになるの??」


「それがさあ、類な、中学入って松田にほぼ一目惚れ状態だったんだよな。それで最近、西川振ってでも、松田に告ったんだよ。ずっと前から今までも西川に別れようって言ってたけど、西川が類のこと好きで中々別れてないって感じかなあ」





舞ちゃんが好きだったからそういう言い方を実由ちゃんはしてたのか。


…でもやっぱり類君は結衣ちゃんの顔だけしか見てない。


性格知らないのかな。と不安になる私。


「ねえねえ。類君は結衣ちゃんの性格知ってるのかな?」


結衣ちゃんは、学年の中でも「顔だけの女」と広まってるはず。類君もかっこいいから目立つ人だし、私は知らないわけないと思った。


「わかんねえ…オレも類は友達だから、友達の好きなヤツにいろいろは口出しできんし」


「そっか。で、さっき結衣ちゃんはこれの相談を私にしてたんだよ」


「そっか。」


と慎二が話したところで







キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪


「あ、じゃあ小川席つこう!!」


「うん!!」











…それからも結衣ちゃんの「どうしようかあ~♪」という相談ばっかり受けてきた。


私は適当に「~すればいいんじゃない?」と言っていた。


「結衣ちゃんが好きならOKすればいいんじゃない?」


とも言ってみた。でも、結衣ちゃんは曖昧な態度で終わって…






よく類君もこんなんでずっと返事待っていられるなあ。って思っていた。
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