大切なもの
「もしもし?」
「もしもし!ゆきちゃん」
「あ、楓ちゃん!」
楓ちゃんから電話だ。
「心配になってかけてしまった!(笑)ゆきちゃん、考えた?」
「う~ん…わかんないよ」
わかんないよ。…そう、もう全てが分からない。
結衣ちゃんが考えてる気持ちも分からないし、私がどう慎二に伝えたらいいのかも分からないし、なんたって今の自分の気持ちも…わからない。
「…あのさあ、ゆきちゃん。」
「何?」
「ゆきちゃんはさ、慎二のこと好きなんでしょ??」
「うん!!!当たり前じゃん。すっごく好き。…あ、なんかごめんね」
「ううん。全然いいよ。その答えを聞きたかったから。」
「うん…」
「だったら、どうせ、もう明後日から夏休みなんだし、素直に自分の気持ちを慎二にぶつければ??成功しても失敗しても、絶対夏休みの前の日、っていうのはいい日だと思う!成功すればデートたくさん行けるし、失敗したらしばらく顔合わせなくて済むし…なんたって私は、結衣ちゃんと慎二にくっついてほしいって思わないし!!」
「…楓ちゃん。ありがとう。そうしてみるよ」
「うん!!私はゆきちゃんの成功を祈ってるから☆」
「ありがとう。……よし、決めた」
「わかった!!じゃあまた明日ね。」
「うん。電話ありがとう」
「じゃあね!」
ガチャン
またまた楓ちゃんには救われちゃったよ。
ありがとう。
…慎二。私は素直な気持ちは恥ずかしくて伝えられないかもしれないけど、
明日は想ってることを言うね。
その日は「お願いですから悪い結果にはなりませんようにっっ!!」と祈っていた。