大切なもの


「え~何?ゆき?」








私が自然と手にしていたものは、サッカーボールのキーホルダー。


よく見ると小さく「一蹴入魂」と書いてあって、かばんにつけるにはちょうどいい大きさで…







「ゆき…慎二に買ってあげれば?」


まるで葵に心を読まれたかの様に言われた。



「…慎二につけてもらいたいなあ。なんか慎二らしいんだ。これ。」


「なんか慎二付けたら似合いそうだねえ!よし、やっぱゆき買いよ」


「えっ、でも彼女でもないのにあげちゃってもいいのかなあ…」


「ゆきは買って、あげなかったら、絶対後悔するっ!このキーホルダーにピンときたんでしょ?買って、あげよ!」



しばらくキーホルダーをまじまじと見つめた末…




「うん!買うっ!ありがとう葵!」


「それでこそゆきだあ!」




そして、思い切ってそこでサッカーのキーホルダーを購入。


一度ギュっ、と握りしめ、そのまま大事にバックに入れ、葵と電車で帰った。





そして、その日の夜。
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