【短編】絡まる糸


「番号教えて?」




“雨宿り”と称して入った近くのホテル。


乱れた呼吸を整えながら、力なくベッドに横たわっていると。


あたしの髪をなでながら、リョウが言った。



「……なんで?」


「また会いたいから、じゃ理由にならない?」



そのやわらかな物腰からは想像できない激しさは、あたしの知らない部分を引き出した。



「……彼女、いないの?」


髪をなでる手が心地いい。
< 11 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop