【短編】絡まる糸
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──────……



「ねぇ。あたしたちってさ、どれくらいだっけ?」


「何が?」


「知りあってから」



「……何だ。こういうカンケイのこと言ってるのかと思った」



汗をかいたせいで乱れた前髪をかき上げた彼は、ベッド下に落とされていたタオルを腰に巻いて立ち上がった。



「……同じことじゃん」


「ん? 何か言った?」


「なんにも」


その背中に向けたあたしのつぶやきは、彼が冷蔵庫のドアを閉める音で聞き取れなかったらしい。
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