【短編】絡まる糸


「……ぁ、っん……」


あたしをなでる、その手が好き。


あたしをかき乱す、その唇が好き。



「……リョ……ウ!」



あたしの知らないあたしを引き出す──リョウが好き。





「……何、考えてる?」


ふいに動くのをやめたリョウは、汗ばんだ顔にはりついたあたしの髪をそっと払った。



「リョウのこと」


「俺のこと?」





「……好きだなぁ、と思って」
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