禁断の果実
何であたしの気持ち読めちゃうんだろう?

「美咲は分かりやすいのよ。見てるこっちがもどかしいっての」

「本当にねー、いつ言ってくれるか楽しみにしてたのに」

言いたかったよ・・・
言って2人と恋バナしたかった。
けど、こんなあたしが好きになる事さえいけないような気がして・・・

「あたしたちは冗談でやってるけど・・・きっと中には本気な人もいるわ」

ニコニコした表情を真剣な眼差しに変えて、沙絵子はあたしの手を握った。

「だから・・・そんな消極的ではダメ。もし本気で好きならダメでも相手に伝えなきゃ」


「そうそう、後悔してからじゃ遅いんだよ」

2人がこんな風に背中を押してくれる事が嬉しかったんだ。
あたしはいつでも自分の意見を貫き通す事なんて出来なかった。
自分が傷ついたり、誰かが傷ついたりするのが怖かったから・・・

「だから・・・がんばるんだよ」

「・・・・うん・・・・ありがとう」

真海や沙絵子と友達になれて本当に良かったよ。
本当に本当にありがとう。


そうだ・・・あたしも変わらなきゃ・・・
いつまでも誰かの背中を追いかけるんじゃなくて
並んで歩けるように・・・。
< 16 / 93 >

この作品をシェア

pagetop