禁断の果実
あたしはそーっと扉を開けて、部屋の中を覗き込む。
するとあたしの瞳に映ったのは、華麗にピアノを弾いて歌っている和泉先生の姿があった。
その綺麗な姿や歌声に見とれてしまって、ボーっと立ち尽くしていた。
なんて綺麗な音色で、少しせつなくて、力強い歌声なんだろう?
先生の気持ちがあたしの心まで伝わってくるような感覚だった。
「・・・・・椎名?」
目を瞑ってその音色に囚われていると、いつの間にか曲は終わっていた。
そして、扉の前で立ち尽くしているあたしに気づいた先生が声をかけてあたしは我に返った。
「あっ・・・・・ごめんなさい。あたし勝手に」
慌ててあたしは頭を下げる。すると、いつの間にか扉の前に来ていた先生は
少ししか開いてなかった扉を開けて、優しくあたしを見下ろした。
「少し・・・入ってく?」
「へ?」
まさかそんな事を言われるとは思っていなく、ビックリしたあたしはなんか間抜けな声を出してしまった。
どうしよう・・・・・めちゃめちゃ緊張するよ・・・・