禁断の果実
「悪いな付き合わせて」
「いえ、大丈夫です」
あたしは隙間を見つけて、踏まないようにヨロヨロしながら奥に入っていく。
「別に踏んでいいよ。もう使わないから」
「あ・・・・はい」
あたしの姿を見て危なっかしいと思ったのか、今井先生はクスクスと笑っている。
「お前ってホント面白いな」
何がどう面白いのか自分でもよく分からないけど、先生の面白いと言う言葉は褒め言葉というのは分かっていた。
「じゃーさっそくだけど・・・本はホコリを掃ってダンボール。資料なんかは使わないからゴミ箱な」
「はい」
今井先生に指示をされて、あたしはそれに取り掛かる。手を動かしながら、ふと今井先生の横顔を見つめた。
今井先生は本当にカッコいい。また和泉先生とは違ったカッコ良さだ。普通なら男慣れしていないあたしにしてみれば、ドキドキするはずなのに、2人になっても和泉先生の時と同じ感情が沸かない。
「・・・・・何俺に見とれてんの?」
ボーっと先生の横顔を見つめたあたしに気づき、からかうような表情で言った。