禁断の果実

まさか今井先生に見られていたなんて・・・


「あはは、おもしれー耳まで真っ赤」

「か、からかわないでください!!」

いつもいつも今井先生はあたしで楽しんでいる。そうやって消極的な部分を少しずつ変えていってくれてるのが分かるけど、ただ面白がっているだけのような気もする。

「進歩・・・したじゃん。そうやって前に出る事はいいことだよ」

「ち、違うんです。本当にたまたま通りかかっただけで・・・」

「俺はお前の応援してんだよ」

何でだろう？
どうしてそこまで気にかけてくれるんだろう？真海や沙絵子もそうだけど、何の取り柄もない平凡なあたしなのに・・・。

「少しずつ自分を出せるようになってるけど・・・お前はまだまだ遠慮がちだからな。涼介を好きでいる事で、変わって行くのは俺は楽しみなんだ」

「・・・・・・どうして応援してくれるんですか？」

「ほっとけないから」

優しい笑顔で今井先生はそう言った。

「それに・・・・」

「それに？」

先生は言葉を止めて、真剣な表情に変えると、あたしの目を真っ直ぐ見つめた。