禁断の果実
キョロキョロと辺りを見渡しながら奥へと進んでいく・・・。

興味が沸くようなものはなく、あたしはそのままピアノの方へ向かった。

すると、ピアノには何枚かの楽譜がかけられていた。和泉先生がいつも弾いてる曲だ。


「これ・・・・先生が作ったものかな？」

音楽の授業では使われないような詩もそこには書いてあった。

あたしはピアノの前に座り、その楽譜を見つめて、鍵盤の上にゆっくりと指を這わせた。




いつも聴かせてくれる音色・・・
それだけでも安心出来る。
せつなくて、優しくて・・・
とても暖かい曲・・・

心の奥があまりに熱過ぎて、あたしはピアノを弾きながら自分でも気づかないまま、涙を流していた。

1曲全て弾き終わると、あたしはゆっくりと目を開けた。すると、和泉先生がいつの間にかあたしの隣りに立っていた。

とても悲しい表情を見せながら・・・



「あっ・・・・あたし、勝手にごめんなさい」

あたしは慌てて立ち上がり、頭を下げる。すると先生はあたしに近づき、先生の指があたしの目下に触れた。

ドクンっと大きく胸が跳ね上がる。
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