禁断の果実
*ヤキモチ*
翌日、朝一番に提出するクラス全員のノートを持って行くために、職員室まで来ていた。
分厚いノートだけに役40人分を一人で持つのはとても重くて、職員室のドアが開けられない。
「うー・・・・どうしよう・・・・」
暫くそこで立ち尽くしていると、突然、職員室の扉が開いた。
「あっ」
ドアを開けたのは和泉先生だった。怪訝な顔であたしの方を見ている。
「すいません・・・重く・・・」
言い終わらないうちに先生はあたしが持っているノートを軽々と受け取ってくれた。
「椎名、一人で持ってきたの?」
「はい、・・・・・日直だったんで」
本当はもう一人、男子が日直なんだけど、なんだか頼みづらくて、一人で持って来たんだよね。
「日直は椎名だけじゃないだろ?」
「・・・・はい」
「悪かったな、持ってきてもらって」
先生はそう言って開いている手の方であたしの頭を撫でてくれた。
またあたしの鼓動が大きく鳴り始める。
「いえ、あたし力強いんで大丈夫です」