禁断の果実
*溢れた気持ち*
この状況はどうしたらいいのかな・・・?
あたしは戸惑いながらも和泉先生に手を引いてもらいながら、跡を付いて行った。
道はどんどん人がいない方向に向かっていた。
先生は何も話さない。
そう言えば、さっきあたしの事・・・美咲って名前で呼んだよね?
酔っ払ってるのかもしれないけど、すごく嬉しかったんだ。
「・・・美咲、家どこ?」
不意に先生が問いかけてきた。
名前を呼ばれるのがとてもくすぐったい。
「あっ・・・・代官山の駅から15分くらいの所です」
「・・・・じゃあ俺ん家と近いな」
そう言うと、先生は駅の方角へ向かった。
先生もこの家の近くなの?
また先生に少し知れた気がして、すごく嬉しかった。
こんな小さな事でも、先生の事だったら何でも知りたいって思ってしまうから・・・。
一人で喜んでいると、駅の近くの公園の前で先生が立ち止まった。
「少し・・・・話そうか?」
「えっ!?・・・・はい」
先生に手首を掴まれたまま、あたしは戸惑いながらも、少し古びた木のベンチに座った。