オトナのキュンラブ†堕落~人でなしの恋†『色悪』シリーズ
「早く俺を抱いてくれよ、綾音」
「凌…」
ためらいも恥じらいも一瞬で吹き飛んだ。
貪るように重ねた唇から、私は深く舌を差し込んだ。
凌の膝の上に乗りあげ、作りもののように美しい---けれど艶(なま)めかしい美貌に覆い被さり、夢中でその咥内を犯す。
「---、ん…」
初めて聞く、凌の鼻に抜けた息遣いに体が震えるほど欲情した。
布越しに感じる凌の熱。
ベッドの上で素肌で抱き合いたいという思いさえもどかしく感じるほど、私は凌に餓えていた。
このまま今すぐ、凌が欲しい---
「凌、お願い……凌!」
抱いて欲しい---
しがみつき懇願する私に、凌は醒めた笑みを浮かべる。
「ダメだ。俺は動かないよ。
俺が欲しいのなら、綾音が動けばいい。
綾音が俺を抱くんだろ?」
彼の腕は相変わらずソファーの背に投げ出されたまま。
再会してから私はまだ凌の手に触れられてもいない。
凌の目を覗きこむと、熱に浮かされたような私の顔が小さく映り込んでいた。
堕落した女の顔。
抱いてくれないのなら抱いてあげる。
与えられないのなら奪えばいい。
恨みごともプライドもみんな捨てるわ。
私は少し体をずらせて凌との間に隙間を作ると、震える手で凌のベルトを外すしファスナーを下ろした。
そっと探るように手を差し入れて触れた凌の熱に、私は体が内側から溶けて流れ出すのを感じた。