オトナのキュンラブ†堕落~人でなしの恋†『色悪』シリーズ
凌は何も言わず、半眼になり私を見つめている。
その視線は呆れているようでもあり、面白がっているようでもあった。
ゆるゆるとぎこちなく動かす指先の下で次第に存在感を増す凌に、私は次第に息が上がっていく。
凌の喉元に唇をこすりつけ、洩れそうな声を押し殺した。
凌の襟元から立ち昇るのは、麝香にも似た凌の体臭。
官能的なその匂いを深く吸い込むと、酔っぱらったように頭がボゥっとした。
「っ、リョ…ウ、----はぁ…、ぅ、ん」
凌の首に額を押しつけ、片方の手でシャツの襟にしがみついてバランスを取りながら、もう片方の手で凌の昂ぶりを煽り私は体を揺らし続けた。
挿入もない、ただ体をこすりつけるだけの行為なのにどうしてこんなに気持ちいいの?
繰り返す雷鳴が一際大きく鳴り響いたとき
「っん、んンぅ!---あぁっ、リョ、ウ!」
私は絶頂に背中を仰け反らせた。
身震いして駆け上がってくる快感を味わいつくすと、力が抜けてぐったり凌の胸にもたれかかる。
自分勝手に欲望を満たす恥ずかしい女。
それは凌だけが知っている私の姿。
私は満足感と自己嫌悪からくる深い溜め息をついた。
「満足したなら、どいてくれる?」
息ひとつ乱さないままの凌の声が胸越しに聞こえた。
見上げると凌は半眼のまま私を見つめていた。
私は凌に触れていた手を静かに離すと、凌の上から体を退かせる。
凌の前に立ち、視線を感じながら私は自分のブラウスのボタンに手をかけた。