恋とくまとばんそうこう

この学校の硬式野球部は甲子園の常連で。

学校もかなりの力を入れていると聞いた弱小野球部出身の俊は

中学最後の大会後、黒い肌も白くなるような日影生活、猛勉強の末、

一般入試でやっとこさこの高校に入学。


しかし、流石甲子園常連校。
 

野球部は強い中学からのスカウト入試で入学した人がほとんどらしく、

入試前に野球の実力テスト、

そしてなんとそのテストに合格した者は中学三年の冬から練習に参加し、

形ばかりの簡単な入試後、学校が始まる前に専用の寮に入寮、野球漬けの日々を送る事になる…。








「そんなの知らねえよ…。」




自宅の机から引っ張り出して来た入学案内を両手に持ち、俊はガクンと首を倒した。

よりによって極小の文字で、後ろーの方に申し訳程度に、しかしちゃんと記入されていた。

スカウト入試ってなんなんだ。

誰もうちの中学にはスカウトなんかに来なかった。


…まあ、当たり前か。


なんと言っても弱小野球部。


でも野球愛は人一倍。


「え、スカウトって秋なのか…。」



その時期、自分はそんな事も知らず、この学校で野球がしたいばっかりに必死に勉強していたなとふと思い出す。





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