Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 だがエイジは、少しだけ揺れたインホアの瞳を見逃さなかった。


「……つ…」


 意識を取り戻したのか、レンが身体を起こす。


「もう少しだけ動かないほうがいいわ。麻酔が覚めるまで」


 インホアは静かに言った。


「テメェ…何しやがった」


 レンはインホアを睨み付ける。

 しかしまだ思うように身体が動かない。

 インホアとツァンダオは、何も言わずにそのままこの場を立ち去っていった。

 同時に、怪しげな男たちの姿も見えなくなる。


「…いいザマだな、お前」


 新しいタバコに火を点けて、エイジはレンの下半身を見つめた。


「うるせェ」


 ベルトを締めながら、むっとして言い返すレン。
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