Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「ねェ、このクーデターって…」

「ロンの仕業よ。分かってるでしょ」

「そりゃそうだけど…肝心の本人が姿を見せないなんてねェ…」

「ヤツはそういう男よ。自分の身に降り掛かる危険は犯さない」

「言われてみれば、前の時もそんなだったような…」

「私、絶対に諦めない」


 助手席のユイは、真っすぐ前を見つめていた。

 握り締めたその手は、掠り傷だらけだった。


「何が何でも、ロンの好きにはさせない」


 口調は静かだが、ミサトにはユイの怒りがふつふつと伝 わってきた。

 何人も部下を殺されたのだ。


「ユイ…」

「ホントはね、あの組織を担っていくには、私には少し荷が重かったのよ。でも、おじいさまがよく言ってたの」

「…なんて?」

「大きすぎる組織はいらない、って。でも実際、あんな風に大きくなってしまって…おじいさまは、世界に余計な混乱を招きたくなかった。だから、ロンを後継者にするときに私をお目付け役にした」


 ロンは野心家で、組織をもっと発展させようとしていた。

 ハクはそれが、一番の懸念材料だったのだ。
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