Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 ユイは俯いたままだった。

 運転をしながら、ミサトは何となくやりきれないような気持ちになる。

 黙り込んでしまったミサトを気使ってか、ユイは顔を上げて、ミサトに笑いかけた。


「そんな顔しないで? あなた達の境遇に比べれば、私は幸せよ」

「…知ってるの?」

「詳しくは知らないわ。ただ、ウー・イー・シーのスナイパー達は皆、天涯孤独の孤児を引き取って組織が育てたものだって…」

「…その通りよ」


 ユイの言うとおり、ミサトは親の顔を覚えてはいなかった。

 物心ついた時にはもう、銃を扱っていた。

 おそらく、エイジやレンも同じような境遇で育ったのだろう。


「…二人とも、ひどい格好よね」


 話題を変えるために、ユイは言った。

 あちこち怪我をして、服もボロボロの状態だった。

 すると、ユイは破れたミサトのジャケットから見える、左腕に刻まれた刻印を見つける。


「これは?」

「…死の烙印」


 聞かれて、ミサトは無表情のまま答えた。
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