Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「ここ10年以内のウー・イー・シーの活動で、行方不明や殺されたと思われる人物…それは各国の科学者も多かった。その人物の中には、兵器に精通している者もいた…」


 心当たりがない訳ではない。

 ターゲットのことは、仕事上それなりに調べたりもする。

『何の為に』ということまでは、自分達の範疇ではなかったが。


「…結局、奴らがこの烙印を欲しがってるってことしかわかってないじゃん」


 がっくりと肩を落とし、ミサトはうなだれる。


「…おじいさまの事をもっとよく調べた方がいいわね」


 ユイの言葉も、その通りだった。

 鍵を託したのは、確かにハク老師。

 だが、生前の老師の行動や組織の中での仕事ぶりは、はっきり言ってユイにもほとんど判っていなかった。


「…実際、おじいさまはほとんど本部にはいなかったし、私も忙しく働いてたから、顔を見るのは稀だったし…」

「『ホン・チャンヤー』に、ハク老師の事をよく知っている人物とかいねェのか?」


 レンが聞いた。


「…残念ながら、いないと思う。もしいたとしても、今の組織は…」


 今ホン・チャンヤーに入り込むのは、かなり難しい状況にある。
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