Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 レンは、腕組みをしたまま堅く目を閉じ、エイジはゆっくりとタバコに火を点けた。


「ユイは…ユイはね、前みたいに笑って過ごしたいだけ なんだよ…。大好きな人と…」


 ぴくりと、エイジとレンの眉が動く。


「それなのに…」

「夢でも、見てるみてェだな」


 天井に向かって煙を吐きながら、エイジは言った。


「毎日平和に、安穏に、笑いながら過ごす。俺達にできる のか、そんなこと…」


 ただそれだけの事なのに。

 生まれてこの方、そんな日々なんて経験したことがなかった。

 普通の事なのに、どうすればそれが出来るのかわからない。


「天国にいるみてェに気持ちいいんだろうな、きっと…」

「エイジ…」


 宝物のようなそんな時間は、天国にある。
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