Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「……うそ…」


 とめどなく溢れる涙を拭いもせずに、ミサトは小さく呟いた。

 その右手は、左の腕をぎゅっと握っている。

 レンが、その手にそっと自らの手を添える。

 エイジは俯いたまま、震える手でタバコに火を点けた。

 ハクがウー・イー・シーと何らかの関わりがあるかもしれない、という事までは、想像がついていたが、まさかそうだとは思わなかった。


「あたし…あのジジイを信じてた…」


 ぽたぽたと、雫が膝に落ちる。


「でも…あたしに命令をしてたのも、彼なんだね…」


 極限にまで追い込まれた任務の数々。

 それを命令していたのは。


「俺は、始めは反対したんだ。あいつのやっている事はあきらかに、ただでさえ過酷な道を進んでいるおまえ達を更に闇に追い込むような事だったからな」

「………」


 店主の言葉に、誰も答えることは出来ない。
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