Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
☆  ☆  ☆




 チェックインしたホテルの部屋で、ミサトはシャワーを浴びていた。

 エイジとレンは隣の部屋にいる。

 頭から熱いシャワーをかぶっても、混乱した気持ちは完璧に拭い去ることは出来なかった。

 自分にとってウー・イー・シーとは、一体何だったのだろう。

 それは育ってきた環境であり、生きてきた証でもある。

 でも、ミサトにとってその事実は、少なからず苦痛を伴うものだった。

 自分自身という存在を押し殺してきた。

 何回も何百回も 、自分の存在価値を自分自身に問いだして。

 事実上組織を抜けた時、生まれて初めて“自由”になれたと感じた。

 だけど手懸けていた麻薬ルートの壊滅を、ミサトはやめなかった。

 今考えると、その行動はおかしい。
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