Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「ま、当の本人にも止むに止まれぬ事情ってのがあったんだろうけどな」


 エイジは、窓の外に視線を送る。


「こんな時になんでテメェは落ち着いてられんだよ」

「過ぎた事をとやかく言うのが嫌いなんだよ。どうにもならねェことをな」

「…ご立派だぜ」


 呆れたように、レンは言った。


「ミサトは今頃、泣いてんだろうな」


 エイジはタバコを灰皿でもみ消し、ちらりとレンを見る。


「行かなくていいのか?」

「誰が」

「テメェだよ」

「………」


 長年付き合っている相棒だ。

 お互いに何を考えているのか、ある程度分かってしまうのだろう。

 レンがここで何かを言えば言うほど、それは言い訳じみた言葉にしかならない。
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