Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「…あいつは、強ェよ」


 たった一言、そう言ってレンはまた、ブランデーを一口飲んだ。

 エイジはふっと笑う。


「…俺もそう思う」


 その時、部屋のドアがノックされた。

 エイジがドアを開けると、そこにはバスローブのままのミサトが立っていた。


「ミサト…?」


 言う間もなく、ミサトはエイジの胸に顔を埋めた。

 濡れたままの髪が、エイジのシャツを湿らせる。


「どうしたんだ?」


 優しい口調で、エイジは腕の中のミサトに問い掛ける。


「……う」

「ん?」

「帰ろう…明日の朝一番の飛行機で」


 ミサトは顔を上げない。

 だからその表情はわからない。
< 145 / 207 >

この作品をシェア

pagetop