Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
第5章

【1】

 あがいて、もがいて。

 他人が感じる自分のみっともなさなんて、もう微塵も気にはならなかった。

 自分が守るもの…守らなければならないものは、一体何なのか。

 それすらも、今は解らなくなっている。

 …ただ、心の中にあるのは、平穏な日々――。


「…まだ、連絡を取る気はないのか?」

「――だから言ってるでしょ…私は知らないって。何回聞かれても、答えは同じよ」


 喋るごとに、目が霞む。

 体中に、痛みと出血。

 手錠をかけられた両手は、もう感覚もなくなっている。


「あなたこそ、どうしてそんなにあの3人に執着するの? この組織を乗っ取ったことで、あなたの目的は果た されたんじゃなくて?」

「そうだったんだがね。君の祖父が、とんでもない置き土産を残してくれたようでね…。我が組織の存亡が、彼ら3人にかかっているんだよ」


 そこらへんまでは、大体予想がつくことだった。
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