Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「無駄だよ、ユイ」


 首のあたりを押さえ込まれ、壁に身体ごと押しつけられる。

 ユイにとって、この男に顔をこんなに近付けられることが、こんなに屈辱的なことだとは思わなかった。

 だけどどうしても、逃れられない。


「君の祖父には、俺が駆け出しの頃から随分とお世話になったよ。俺は素直に、忠実にボス従った…」

「そうやって取り入って、次のボスの座をあなたは狙っていた」

「そうだ。だが、私にはどうしても邪魔なものがあった…」


 もし、四肢の1本でも自由になるなら。

 今すぐにでも、一発お見舞いしてやるのに。


「俺にとって邪魔な存在…それは、お前達だよ」


 出来る事なら、今ここで、殺してしまいたかった。


「お前達の存在だけが、私にとってはこの上なく邪魔だった 」
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