Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「お爺さまはそれを知ってて、わざとあなたを 後継者に選んだ。普通なら有り得ない事なのにね。だけど、私にはわかる」

「何がだ?」

「組織は壊滅する。ミサトやエイジやレンが手を下さなくても、あなたがここにいる限りそれは避けられない事なのよ」


 男は口唇の端を少し吊り上げて笑った。

 そして、ユイの首元にその息がかかるくらいに近付けて。


「…未来は見通せないから、面白いんだよ」


 首筋に、痛みが走る。

 それにも構わずに、ユイは低い声で言った。


「私にはわかるわ、ロン!!」

「楽しい勝負になりそうだ。だが果たして、君は私を殺せるかな…?」


 ロンはそう言うと部屋を出て行った。

 両腕に全身の力を込める。

 血が滲むのも、構わずに。

 まだだ…まだ、泣くのは、早すぎる。
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