Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「これで証拠はなし、と」


 エイジは呟く。

 ミサトはやけに赤く染まる夕焼けを、窓から見つめた。


「休んでる暇はないね。今夜、ホン・チャンヤーの本部に潜り込もう」


 それには、二人とも異論はなかった。

 ロンは間違いなく、ユイの身柄を人質に仕立て上げるはずだ。

 だから、ロンが動く前にユイを助ける必要がある。


「エイジとレンは、とにかくユイを助けて」

「って…ミサト、お前は?」

「あたしは、起爆装置を壊してくる。そしたらすぐにビルに向かうから」

「別行動、すんのか?」


 ここにきて、少しばかり不満そうな声を上げるレン。

 だがミサトは、迷いもなく頷いた。
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