Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 その様子を見て、エイジはふと眉をひそめた。

 この余裕は、どこから来るのか。

 いつもなら、追い詰めれば逃げるような男だったはず。

 それが、こんなに早く自分から姿を現したことにも違和感を感じていた。


「…俺たちが、このビルを木っ端微塵にできるかも知れ ないんだぜ?」

「万に一つも、そんな可能性はない。我々に貴重な情報を提供してくれる女がいるものでね」

「――その女性ってのは…」

「今頃、あのちっぽけな酒場にいるよ。あとは、最後のプログラムを手に入れるだけだ」


 エイジは、心の中で舌打ちをする。

『AGORA』にいるのがインホアだとすぐに理解した。

 まさか一人でそっちにいる訳でもないだろう。

 何らかの戦闘手段も持ち合わせているに違いない。
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