Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 店内をゆっくりと横切ると、ミサトはカウンターに寄り 掛かかる。

 真っ暗な店内。

 だがミサトの目には、あのジジイが笑っている姿が浮かんでいた。


「夢…叶うよね?」


 痛みを堪え、息を整えるように深呼吸すると、ミサトは誰にともなく、そう呟く。


『わしも…おまえ達と同じことを、願っているよ』


 ハクが最後に残した言葉。

 彼がどんな顔を持っていたとしても、ミサトはその言葉を信じようと思った。

 ミサトはカウンターの床下にある収納スペースの扉を開けた。

 前に、レンと一緒にここに隠れた時に感じた違和感。

 そこは、地下室に通じる入り口だった。

 地下室はそんなに広くはなく、電源が入ったままの様々な機械が、ところ狭しと並んでいる。


「………」


 そのまん中の機械には、小さな鍵穴と、プラスチックのケースで覆われた、赤いボタンがあった。


「ったく…映画じゃないんだから」


 ミサトは、苦笑しながら、小さく呟いた。

 それから半刻後、ダウンタウンの一角で、一際大きな爆発が起こった――。
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