Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「だからここから逃げて。あなたはこれから、あなたの意志で生きてちょうだい」

「母さん…ダメよ、こんなことしたら、母さんが」


 危険に曝される。

 その言葉は、途中で遮られる。

 ――インホアの、腕の中で。


「私は大丈夫。…もし、あなた達の願いが叶ったら…その時は、私も呼んでちょうだいね?」

「…えぇ、きっと」


 インホアはユイに銃を渡す。

 ユイは黙ってそれを受け取ると、部屋の出口に向かった。


「いい子に出会えたわね、ユイ」


 そう声をかけられて、ユイは笑う。


「私の、大事な宝物なの。失う訳にはいかない」

「…そうね」


 部屋を出ていくユイの姿を見送って、インホアは真顔に戻る。


「本当に…終わるのね」


 確信にも似たその言葉。

 あの子達ならきっとやってくれる。

 そんな気がしてならなかった。
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