Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「…母さん…!」

「インホアさん!」


 傷ついたインホアが、ロンに捕らえられていた。


「本当に、利用価値のある女だよ。最後まで、ね」

「母さ…」

「諦めるんだな。親子仲良く天国で笑うがいい」


 ツァンダオがこっちに近づいてくる。


「まだだ」


 ポケットから手を出して、エイジは言った。


「諦めるのはまだ早ェ」

「エイジ…」

「俺にも夢があるんだよ。ユイ、お前と同じ夢がな」


 ユイの目を真っすぐに見つめて笑う。

 その瞳には、迷いや不安は一欠片もなかった。
< 196 / 207 >

この作品をシェア

pagetop