Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「…ま、すぐにでも行きたい気持ちはわかるがな」


 あまり浮かない顔をしているエイジを見て、レンは軽くため息をつき、店を出て行こうとする。


「テメェこそ、何をそんなに焦ってるんだ?」

「焦る?」


 後ろからそう声をかけられ、入り口で立ち止まり、振り返るレン。

 追い打ちをかけるように、エイジは更に言葉を続けた。


「あァ、テメェは焦ってる。それはこの手紙にどんな意味が隠されてるか、十分わかってるからだ。そうだろ?」


 エイジは、手紙をテーブルの上に置いた。


「分かってるさ。だからこそ、急がなくちゃならねェ。 そうじゃねェのか?」

「“適切な状況判断”。俺が言いてェのは、いまのテメェにはそれが欠けてるってことだよ」


 レンは黙り込んだ。


「組織に教えられたこと…それは、俺たちの体に染み付いてるんじゃなかったのか?」

「関係ねェ!!!!」


 レンは、エイジの胸倉を掴んだ。

 エイジの口から、タバコがぽろりと床に落ちる。
< 20 / 207 >

この作品をシェア

pagetop