Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「関係ねェって言ってんだよ! 俺たちはもう組織の人間じゃねェんだ、そんなことはテメェにも分かってるはずだろうが!!」

「…あァ、確かに、今の俺たちは組織とは何の関わりも持ってねェ…だがな、今動いているのがあの組織だとしたら…俺たちだけじゃなく、ミサトの身にも危険 が及んでるはずだ」

「………」


 レンの手の力が緩む。

 エイジはゆっくりと、その手を胸元からはずした。


「そんなことも考えられねェほど、冷静さを失ってたんだよ、テメェは」


 シャツのよれを直し、新しいタバコに火をつけながらエイジは言った。


「あいつの身に…確かに、そうだったな」


 椅子に座りなおし、レンは言った。


「手紙につられてここまで来ちまったけどよ、ミサトだってそれなりに動いてんだ、あいつもきっとここに来る。俺はそんな気がしてならねェんだがな」


 俯いたまま、エイジは言う。


「ミサトは…」


 初めて会った時にミサトが座っていた席を見つめながら、レンは言った。


「あいつも結局…俺達と、同じなんだよな」


 先の照らされていない道を、手探りで進んでいるだけの。

 いつ出口に辿り着くかわからない、長い長い道を。
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