Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「それだけよ。何かご不満でも?」

「いや、別に――」


 もう太陽は西に沈み、夜の帳が徐々に色濃くなってきている。


「確か一年前、今度会うときはまたトラブル背負ってくる、とか言ってなかったか?」

「…言った…ような気がする」


 レンの問い掛けに、ミサトは自信なさそうに言った。

 その手は、そっと上着の内側を探っている。

 その時、店の割れたガラスの隙間から、一つの鉄の固まりのようなものが投げ込まれた。

 そして、ガスマスクを装着した男たちが何人か、店の中に入ってくる。


「…二人はどこだ?」

「どこにも見当たりません、逃げられました」

「まだ近くにいるはずだ。探せ!」


 黒いスーツの男達はそう言って、また店の外に出ていく。
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