Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 その時は命令を実行した直後で、いつものようにただ一人、誰もいない公園でたたずんでいた。

 …雨でよかった、と。

 老人に会ったとき、最初にそう思った。

 だが何故、あの老人が一回会っただけの自分に店の住所を書いたメモを渡したのか。

 今思うと、見透かされていたのかも知れない。

 任務が終わった後、いつも一人になるのは。



 ――…泣きたいからだ…。



 雨に濡れた涙をも見透かされていたのか、老人に聞くことは出来ない。

 今はもう、彼はこの世にいない。

 その頃、ある組織のナンバー2である人物を暗殺しろと、組織に命じられていた。

 それが正しいことなのかどうか、何のために殺すのか、自分には関係のないことだった。

 麻薬ルートを取り仕切っている男を狙え――その任務を遂行しようとしたとき、ミサトはある男と出会った。
< 4 / 207 >

この作品をシェア

pagetop