Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 しかも見張りの一人もいない。

 ここまで素晴らしく拘束されると逆に、逃げる気も失せるというものだ。

 しばらく茫然としていると、ドアが開いた。


「…そろそろ薬が切れる頃だと思って」

「インホアさん…淋しかったぜ」


 苦笑しながら、エイジは言った。


「ごめんなさいね、エイジさん…お腹すいてる?」

「いや、おかまいなく。それよりこれ、大人しくしてろってことなのかな?」


 両手を少し持ち上げて、エイジは言う。


「そうね。そうしてもらえると、私も助かるわ」

「こんなことしなくても、俺は御夫人には手は出せませんよ」

「あら、優しいのね」

「一つ、聞いてもいいかな?」

「何かしら」

「俺、さっき相棒の居場所バラしちまったけど、ヤツに何か仕掛けたりしてねェよな?」

「………」


 インホアは答えない。

 分かりやすいぜ、とエイジは呟く。
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