Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「ユイ、そんなに動いて大丈夫なのか? 組織は…」

「罠を仕掛けたのは私の母親なのよ。レンが行くより話が通じやすいと思うの。私は、少しでも無駄のないほうを選んでいるだけよ」


 そう言ってユイは、回れ右をして歩きだす。

 レンはその背中に声をかける。


「俺達を信じろ、ユイ!」


 ユイは少し振り向いて、頷く。

 それを見送り、手に持った鍵を見て、レンは軽くため息をついた。


「…謎解きはあんまり、得意じゃねェんだよな…」


 この小さな鍵が、きっと何か1つの答えを導いてくれる。

 例え、その答えがこちらにとって天国ではなくても。

 それが何かを見届けるのも悪くない。


「レンー。早く行こうよ」


 ミサトに急かされ、後ろ頭をぽりぽりと掻いて、レンは車に乗り込んだ――。
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