Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
第3章

【1】

【1】






「えぇ…。ここに来たのは一人だけ。予定外と言えば予定外だったわね」


 電話のコードを右手で弄びながら、インホアは言った。


「でも、計画には支障はないはずよ。三人のうち一人でも私の元に来てくれればね…。あまり高望みすると何もかもうまく行かなくなるものよ…」


 まだ眠っているエイジを、ちらりと横目で見る。


「そうね…。私も、そろそろ終わりにしたいの…もうこんな世界に縛られるのは嫌…娘も、それを望んでいるはずだから」


 母親として、言葉には言い表わせないほどの苦労をさせ てきた。

 これが、せめてもの罪滅ぼし――。
< 53 / 207 >

この作品をシェア

pagetop