Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
☆  ☆  ☆




 状況には何の変化も見当たらなかった。

 ただ、窓は固く閉められていて、ずっと暗い。

 昼なのか夜なのかもわからないくらいに。

 食事はインホアが用意してくれて、別に肉体的に暴力を受けることもなく、囚われの身としては待遇はいいほうなのかも知れないが。


「…何か、口に入れたほうがいいと思うんだけど…エイジさん?」

「いや。腹、減ってねェんだ」


 そのかわり、灰皿代わりの皿にはタバコの吸い殻が山のように積み重なっていたが。


「お水くらい飲めば?」

「………」


 頑なに口に食べ物を入れるのを拒むエイジに、インホアはため息をついた。
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